『どうしたの?』


わざと明るく振る舞うさやかの声。


『さやか…この部屋、出ることにした。さやかの荷物、送るよ…』


無言…。長い沈黙。


一人転勤して、頑張ってるさやかに…酷いことはわかってる。


『なんで?あの子の為?』


『ごめんな、さやか。俺はリコが好きなんだよ』


さやか…ごめんな。


『バカね、ケンジ。高校生に本気になったの?長くは続かないわ。どーせ。』


さやかは涙声になってきて

『あんた、バカよ。荷物は送って。でも…でも…なんでもないっ。じゃあねっ』

電話は切れた。


愛してた。好きだった。でも、最後はリコの代わりに抱いてしまっていた。