今夜…話そう。もう、延ばせない。


マンションに戻ったら、さやかが先に帰っていた。


『お帰り…遅かったね』

俺の近くに来て、ふと何かの匂いがしたのか…鼻を動かした


『また、この香か。ラブパスポート』


何のことかわからずにソファーに座ると、さやかから、口火を切った。


『あのこが付けてた。この香り、若い子に人気の香水よ。移り香に気付かなかった?何度も…何度も。どういうこと?』


『さやか、ゴメン。あのこが好きになった』


『ばか。高校生に振り回されて。しっかりしてよ』


思わぬ展開だったけど、俺は自分のばかさ、間抜けさ、情けなさに呆れた。


さやかはずっと前に…とっくに気付いていた。