『ケンジ!』

さやかが俺に手を振った。

それを見ていたリコちゃんはブスッとして、カバンを抱えてまた座った。


『ひょっとして…このこが…ケンジの可愛いお得意様??』


ガバッと立ち上がったリコちゃんが、さやかに向かって、


『ひょっとして、ケンジさんの彼女さんですか?』


さやかはニッコリ微笑んで
『そうよ。そっかあ。あなたかあ。可愛いわねっ』


『どーも…』

また座るリコちゃん。俺を睨んでる。


『ケンジ、視力検査してもらおうと思ったんだけど、会社から呼び出し。また今度検査して。あ、ケンジのシャンプー切れてたから私が買って帰るね。じゃあね』


『ああ。』


さやかを見送って、待合室に戻ったら、引きつった笑顔のリコちゃんが、カバンを抱き締めて座ってた。


可愛いな。


隣に座って…手を差し出した。


『メガネは?』