『絶対に忘れないで…』


ケンジさんは私の身体を離して…黙って車を出す


不安になった。黙っているケンジさんの横顔に。


つらそうに見えたから。


彼女がいるのに…。無理に私が。


『ごめんね…ケンジさん』

『リコちゃんがどうして謝るの?俺が悪いんだ。はっきりした態度をとれないでいたから』


嫌。嫌だよ。言わないで。はっきりさせないで。


『ケンジさん。お願い。何も言わないで。今のままでいい。お願い…生きていけなくなっちゃう』


『リコちゃん…』