話し声が聞こえた。


「んん……」
「お、目ぇ覚めたか?」


顔を覗き込んできたのは友人で、アキラはいつの間にかベッドに寝ていた。
猫はもういない。


「どーしたの」
「いや、どうしたって……おまえがあんなところにぶっ倒れてるからだろ」
「倒れ……?」
「ああ。窓のところにな」


そういえばそうだった。

ぐるぐるになって、ぐにゃぐにゃになった。


「俺が来たらさ、知らないヤツが出てきたんだよ」
「知らないやつ?」
「そう」


友人は、首を縦に振った。


「助けてくださーい! ってな。なんかの映画かと思った」
「で、結局?」
「となりだよ、隣。おまえ、窓開けっ放しだっただろ? 隣のヤツが気付いてこっちに入ってきてたんだよ」
「おとなり……どんな人だった?」
「どんな、って」
「あ、やっぱいい。きかないことにする」