更衣室に戻るとすでに同僚の姿は無かった。
きっとまた、近くの居酒屋チェーン店で集まり、リーダー格の紗江さんを筆頭に酒のツマミにアタシの悪口でも言って「なんで私達って男運ないんだろ…」等とぼやいてんだろう。


実際、仕事終わりに友人とその居酒屋を利用した時に彼女らがそんな話をしているのをたまたま聞いていた。


そのチェーン店は隣の席同士を板一枚で隔てている様な所でいつもどうり友人と他愛もない話をしていると後ろから「なんであの子ばっかり!!」とヒステリックな声が聞こえ何処かで聞いた事のある声だと思い後ろをチラッと覗くと紗江さん達がビール片手に酔っ払っていた。


向こうはアタシの事など一切気づかず「先生はあんな小娘のどこがいいのかしら?ただ若いだけじゃないの」などと相当酔っているのだろうか、舌を回し大声で喋る紗江さんに仲間の加奈子さんは「ほんとそう。若いからっていい気になってんじゃないわよ」と一緒になって大声で喋る姿に小娘とはどうやらアタシの事らしいと検討をつけるのにさほど時間は要さなかった。


友人が「知り合い?」と聞いてきたので「職場の人たち」と困った顔しながら笑うと「百合の事悪く言うなんて頭可笑しいんじゃない!?アタシ、一言言ってきてやろうか!?」と怒りを露にした男勝りな友人を「ありがとう。気持ちだけ受け取っとく」と宥めて、「けど、さすがに落ち着けないし場所変えない?」と言い店を後にしたのだ。