「立花さん、麻酔の準備してもらえるかな?」

そう言って、いつもの様に[先生]はアタシに特別な笑顔を向ける。

ここで言うところの特別とは恋愛感情以外の何物でもない。


それを自意識過剰だとは思わない。
寧ろ当然だと思っている。

この男は他の誰でもなくアタシに惚れている。


『はい、分かりました』 とアタシもいつもの様に、笑顔で返す。

そして、"きっと今晩も誘われるんだろう…"と頭の端で考えながら、麻酔の準備をした。