街を見てもまだまだ真新しいスーツの若者達は眩しい。

スーツを身につけてはいるが、新しさといい、お昼休みの彼ら彼女らの笑顔はまだ無邪気さの残る学生の顔だ。

お昼休みに幸平は近くの公園で缶コーヒーを飲んでいた。

妻の沙雪と結婚したのは3年前。まだ新入社員だった頃の沙雪を思い出した。


『桜井沙雪です。分からない事だらけですが、一生懸命覚えますのでご指導宜しくお願いします。』
他に男が1人と女が1人入ったが毎年の事だと適当に挨拶を聞いていた。


もちろん沙雪が特別に美人だという訳でもなかった。
特別に明るいという訳でもない。


いつだっただろう。沙雪を意識したのは。
遠い昔のように感じる。