『あら、早いのねお母さん。すぐじゃない。』

食器を片付けて部屋を掃除してる間に母親が来てしまった。

『銀行寄ったりするのに早めにでたのはいいけど、思ったより混んでなくてね。』

『やだ、買い物まだだから家には何もないわよ。外にでましょうか?』

母親は買い物袋や紙袋をドサッと置くと、中から手品師のように次々に品物をだしてきた。

『いいわよ、お昼でもと思って、ほら。お弁当買ってきちゃった。』

長居するつもりだろう。
お弁当に、松美おばちゃんの桃に、私が好きな桃鈴堂の抹茶ロール。

これでは早く帰ってとは言えない。