そこにあるのは分かっている。
私が結婚する時に送った茶色の革製の財布。

幸平はすごく喜んでくれた。
色も形も良いと。早く俺の手に馴染むようにと毎日毎日財布をなでてくれた。

その財布に触るのがすごく怖い。