「おじゃまします・・・。」


耀ちゃんの部屋は相変わらず綺麗で生活感のない空間だ。

「適当に座ってて。」

耀ちゃんは冷蔵庫から缶チューハイとオレンジジュースを持って来てテーブルに置いた。

「ガキはジュースな。」

そう言って缶を傾ける。


あたしはジュースには手をつけず黙ったまま床を見つめていた。

「真奈、どうしたんだよ?」

「・・・ママがさ再婚考えてるみたい。」


あたしには父親がいない。あたしが6歳の時に亡くなった。あれから12年、ママはあたしを女手一つでここまで育ててくれたのだ。

「ああ。あの人だろ?」

あの人、それはママの交際相手の佐藤さん。

ママと佐藤さんはあたしが中2の頃から付き合っていて、あたしの高校生活も佐藤さんに助けてもらったもの。

「うん。だけど、やっぱ再婚となると複雑。」

ママだってまだ45歳と若めだ。だから恋愛するのだっておかしくない。

けど・・・

「もうパパのことは忘れちゃったのかなって・・・。なんかショックだった。」