「あ・・・っ。」

恥ずかしくてあたしは右の手の平で口を隠した。

高橋くんは俯いて、いつもより微かに低い声で呟いた。


「杏、好きだよ。」


そう言って走り去って行った。


高橋くんと入れ違いに友達が来た。


「ごめんね〜、待った?」

「・・・う、ううん。」

「あれ、杏、顔赤いよ?」



恥ずかしくて、甘酸っぱい、あたしの"初体験"。

16歳の夏、あたしはこの先に光り輝く希望を夢見た。













END