＊＊紫乃＊＊
ずっと不安に感じていた想いを、先生に打ち明けて涙を流した。
そんな私の涙を、先生は慣れた手つきで拭ってくれる。
その心地良い感触に甘えている時に、耳に届いた先生の言葉。
「ほら、もうパンダじゃなくなった。紫乃ちゃん？どうしても将来が決められない時は。」
「決められない時は？」
「僕のところへおいで。」
先生の？ところ？
意味がわからなかった。
先生は大きな手を私の頬に当てながら、優しい笑顔を浮かべる。
いつだって先生の笑顔は優しいけれど、この時の先生の表情は熱く蕩けるような微笑み。
こんな先生の表情を見たのは、初めて。
私は胸の高鳴りを押さえることが出来ずに、思わず俯く。
