先生の言うことは、良くわかる。

だけど、学校で配られた進路希望の用紙に、何て書いたらいいのかわからない私は、焦りだけが大きく膨らむのを感じていた。

その思いを、私は先生に吐き出す。


「まだじゃないよ。もう高校3年生だよ?葵先生はお医者様になるって目標があった訳だし、碧だって。」

「紫乃ちゃん。碧だってハッキリ決めた訳じゃない。僕だって高校生の時にすぐに決断出来た訳じゃない。それに進路を決めた後だって、また悩みは出てくる。みんな同じだよ。紫乃ちゃんだけが不安なんじゃないよ。」


私だけじゃない。

みんなそれぞれに、不安や悩みがある。

頭ではわかっているけど、私の心のざわめきは、先生の言葉を聞いた後でも、治まることはなかった。