**紫乃**


「どうしたの?紫乃ちゃん?」


急に泣き出してしまった私に、先生は驚き、オロオロしているのがわかる。

だけど、私はどうしても涙を止めることが出来なかった。

だって。もうずっと前から、不安で押し潰されそうだったから。

その想いを、涙と共に口にする。


「葵先生。私、自分が将来、何になりたいのかわからないの。」


私の告白に先生は、頭を優しく撫でてくれた。

そして微笑みながら、優しく私を抱き寄せ、耳元でゆっくりと囁く。


「紫乃ちゃん。まだ高校3年生なんだから、将来のことで悩むのは当たり前だよ。焦る必要はない。」