「あっ!見ないで!」


僕が手にしていた白い紙を、君は慌てて奪い取ると、背中に隠す。

でも、もう遅い。

僕はしっかりと見てしまったのだから。

進路希望欄が空白の、君の調査票を。


「紫乃ちゃんは、将来何の職業に就きたいの?」


何気なく聞いただけだった。

だから、君が肩を震わせて泣き出すなんて、思ってもみなかった僕は焦った。