**葵**


ん?カードキー?どうしてこれを君が?

差し出されたカードキーを受け取ってはみたものの、いまいち事情がのみ込めない。

目の前にいる君を改めて見つめる。

この時になって僕はいつの間にか、君の肩を掴んでしまっていたことにようやく気が付いた。

碧から君を守ることしか考えていなかった僕はつい、馴れ馴れしく君に触れてしまった手をすぐに離そうとした。だけど。

小さく肩を震わす君に気付いた今、この手を離すことは僕には出来なかった。

きっとひとりで、心細い思いをしていたのだろう。


『もう大丈夫だから。安心して。』


本当ならそう言って、そのまま君を抱き寄せてこの胸に優しく包んであげたい。

でもそれは、出来ない。