「あ・・・」

自分なりに頑張って、「あたしも嬉しいです」と言おうとしたけれどもともと異性と話すのは苦手だし緊張もあって上手く声が出なかった。
やっぱりあたしは駄目な人間だなぁと少し落ち込む。このまま一回も話せずに、あたしは帰っていくのだろうか。

「ゆっくりで良いです、話してください」

宮城 恭哉は、あたしの本当に小さな声を聞き逃さなかった。
「ゆっくりで良いです」と言う宮城も、話し方がゆっくりになっている。
なんだか宮城の優しさが伝わってきて、緊張感が解けてきた。

「あたし、も・・・嬉しいです」

こんな恥ずかしいこと面と向かって言えなくて、思わずあたしは俯いた。
しかも小さな声で、きっと、というか絶対に聞き取りにくいだろう。