「やっぱりなぁ、その可愛い声はすぐに君の声だって分かったよ」

これはあたしをからかっているのか、なんなのか。本気で言っているとは思えない。あたしは今まで自分の声を可愛いなんて思ったことがこれっぽっちも無かった。むしろ高くて気持ち悪いと思ってた。きっと周りにも気持ち悪がられてるんだろうなぁ、そう思いながら生きてきてた。

「・・・え・・・いや・・・可愛く、ない・・です」

あたしがそう言うと受話器の向こう側で宮城が少し笑ったのが分かった。

「照れてる所も、可愛い。なんか、言ってる俺まで照れてきますよ」

そう言われたあたしは、「・・・え・・・」や「・・・いえ・・」等すら言えなくて、しばらく沈黙が続いた。電話での沈黙というものは、こんなにもドキドキするものなのか。