宮城 恭哉から電話がかかってきたのは、その日から三日後のことだった。
知らない番号からの電話で、出てみたらあの声が耳のなかへとすぐに入ってきた。宮城 恭哉のあの声は、あたしの耳にすんなりと入ってきては出て行こうとしない。いつまでも耳に残っていて、いつまでも耳は少し熱をもっている。

いきなりあの声が聞こえてきたときの驚きといったらとんでもないモノで、頭の中が真っ白になったのは言うまでもない。

「もしもし、椎名 遼さんでしょうか」

あたしとは違い、向こうは落ち着いているようで(当たり前だけれど)やっぱりあの声はあたしにとって特別なのか、声を聞くとなんだか落ち着いてきた。でもこの声を聞くと、何故か耳も頬も熱くなって、鼓動が周りに聞こえてるんじゃないかと思うときもある。なんだろう、なんだか矛盾している気がする。落ち着けるけれど、ドキドキする。

「はい・・・・そう、です」

相変わらず、あたしは異性と話す時声が小さいし震えてしまう。普通でも聞き取りにくい声、電話じゃ多分もっと聞き取りにくいだろう。