気付くと、うっすらと暗くなってたので自主練はここで打ち切りになった。
それから、一緒に部室に行くと誰も居なかった。
ケータイに入ってた翔子からのメールには『先に帰る』と入ってた。
「メールじゃなくて一言くれればいいのに」
「…一人か?」
「え?あ、うん。翔子も亜実子も先に帰ったみたい」
「……送る」
「ふえ?」
俺が付き合わせたし、と佐野くんが部室を出ながら呟いた。
「あ、待って!!」
佐野くんは自転車通らしい。
道路側を自分が歩いて、歩道を私に譲ってくれる。
それだけで、そんな優しさだけで凄く幸せになる。
「…陽斗、なんか言ってたか?」
「え?」
佐野くんと歩いてる幸せを噛み締めていた私は、よく聞こえずに聞き返した。
「いや、陽斗となんか耳打ちしてるの見えてたから」
アイツお喋りだから、とゴニョゴニョ言う佐野くんが可愛いくて更に悶える。