「どうしたの?小春」

「あ、や、何でもないよ」


とりあえず、笑って誤魔化しといた。
ついでに両手も胸の前で振っといた。


変な声を出させた本人を見ると、陽斗君はケロリとして笑っていた。


何故か、男版亜実子を彷彿させるのは私だけ?


それから少し談笑していたら、鐘が鳴り陽斗君は隣のクラスに帰っていった。

「まったねぇ~翔子ちゃんたち」

「…馴れ馴れしい」


陽斗君が出ていくまで、翔子はドアを振り向くことはなかった。

陽斗君は翔子の苦手な部類らしい。


でもオウンゴールって、何??

……佐野くんに聞いてみようかな。


亜実子は絶対に理解出来てないから聞いても意味ないし、翔子について言われた事だから翔子には言いにくいし。

頼れるの、佐野くんだけ、だよね。


とりあえず、陽斗君のお陰で佐野くんとの会話のネタが手に入った事には素直に感謝しといた。


なむなむぅ。

違うか。