「あっ!!あれ…」

サッカー部を眺めているとふと、彼が見えた。

「どうかした?小春」
「あの人、サッカー部だったんだ」
「あぁー佐野?あいつサッカー部だよ」

釘付けになった。

楽しそうに、ボールを追う姿に。

誰よりも瞳をキラキラさせて、誰よりもたくさん動いている、彼に。

「…佐野君か…」
「小春?」
「あっ!!何でもない!!」

慌てて笑顔を作り、翔子に振り向く。

そしてまたサッカー部の方を見る。

いろいろ動く彼から目が離せなくなった。

いつの間にか彼を目で追っていた。