「まずは相田先輩に報告してくるから、ちょっとここで待っててくれ」
「うん」
「わかったわ」
「佐野っち!!私も!!」
「却下」
佐野君は背中を向けてスタスタ歩いていった。
「却下って」
ブスッとした顔で亜実子が拗ねてる。
私たちは苦笑。
でもしばらくしたら、扉から「キィ」って音がした。
出てきたのは相田先輩と佐野君。
「君たちが佐野の推薦ね」
「は、はい」
ちょっと緊張。
練習してる時の先輩と違ってて、落ちついた王子さまみたいな人だったから。
亜実子にいたってはさっきの元気なんて何処にいったのやら。
相田先輩を見た瞬間に亜実子の時間が止まった。
ようは全く動かないってことで。
「サッカーを愛しているんだね」
「はい!!!!!!」
愛している、の言葉に反応した亜実子が元気いっぱいの返事。
たぶん、サッカーじゃなくて相田先輩に対しての返事だな。