そこには10年前にオーストラリアに引っ越していた愛美の姿があった。


色鮮やかな茶色みを帯びた長くて、綺麗な髪に白い肌。


クラスの男子を問わず、女子も愛美にくぎ付けにされている雰囲気だった。



だが俺は誰とも違う心境だった。



愛美のもつ独特の雰囲気が、俺の中の何かをざわつきたてた


そんななか、愛美が俺の隣の席へやって来た。



「…大樹?」



愛美が俺に気付いた。俺はそれ以上、彼女の顔がまともに見ることが出来なかった


必死で平然を装うと、いっぱい、いっぱいだった


……なんだよ、これ


どうしちゃったんだよ俺


こんなの俺らしくもない



こんな気持ちになったのは、生まれて初めてのことだった


今まで女子から告白されたことはあったが、本気で好きだと思える女子はいなかった