「たしかに、たしかに。」


くくく、笑いが漏れる。面白い男だ。意外とはっきりという。疑いも揺らぎもない。あるいは自分より、強いのかもしれない。


「たしかに。でも、そういうのをやめにしたんです」

「どういうことですか」

「変だとかなんだとか。寒いとかなんだとか。気にするのをやめたんです。」


「寒いのは、やめられないでしょう。」

「同じなんです。俺にはもう。あなたは、この劇場を知っていますか」


話過ぎたか。男は黙った。だが、もう止められなかった。まだ、止めたくなかった。話したかった。