淹れなおした飲み物が運ばれてきたのを合図に先生は僕にソファをすすめ、自分も向かいに腰を下ろした。

温かいコーヒーの香ばしい湯気が鼻をくすぐるのを感じながら先生に向き合う。

「それにしても画家と歌人のインタビュー記事だなんて。若い人は思いつく事が面白いですね」

そう言って真正面から僕に向けられる目からは本当にこのインタビューを楽しもうという気持ちが伺える。

「果たして僕なんぞにインタビュアーがつとまるかどうか…」

対して僕は緊張と自信のなさから自然と手前に置かれたコーヒーに視線が落ちてしまう。

先生はそんな僕の様子を面白そうに眺めてふふふと笑うと、
「さぁインタビュアーさん、ゲストである僕はどうしたらいいのかな?」
と急に偉そうな態度でソファにふんぞり返ったので思わず笑ってしまった。

僕は先生の心遣いに感謝しながら視線を上げ、この場を仕切り直した。

「自分の好きなものを、リレー形式で歌人が紹介していく、という企画でして。僕は先生の絵を紹介させていただくことにしたんですよ」

そう言いながら思いついて手元に紙とペンを用意する。
商売道具を手にしたせいか僕の気持ちは少し落ち着いた。