あ、何かのロマンスが生まれそう……?

 きゃー、だったら応援しなくては!



 と、妄想よろしい想像の渦の中に沈んでいた思考をすくい上げたのは、やはりツツミ兄様だった。



「何を想像してるんだい?」


「……な、何でもないです」


「そういうことにしておいてあげようか。百面相一歩手前の九十九面相って感じだったのだから、気をつけるべきだよ」



 何だよソレ。

 そう思った私に罪はないはず。多分。



「……善処します」


「よろしい。素直なのは基本的にいいことだよ」


「基本的になんですか?」



 そう尋ねると、またしてもツツミさんはにっこりと笑んだ。

 笑うと真人お父様にソックリなのに、なんで中身はこうも違うのだろうか。



「そ、基本的には、だよ。裏の裏の裏をかいて、嘘をつくこともデタラメをいうことも、まあ必要な時があるのは確かだからね」


「政治とか……?」


「政はその最たるものではあるね。他には人間関係もそうかな。今の君のようにね?」