なんというか、ツツミさんのペースに乗せられている感じだ。

 それを強引だと感じさせないツツミさんは、スゴイ人なんだろう。



「ふふ、君っていうのもやめようかな。蘭花ちゃんって呼んでもいいかい?」


「か、構いません、わ」


「ふふ、とってつけたように丁寧な言葉を使わなくてもいいよ。敬語も、最小限でいい。父上以外の他人の目がある時以外は、普通に喋りなさい」


「……はい」


「ほら、敬語」


「あ、すみません。……よろしく、ツツミ兄様」


「うん、よろしくね、蘭花ちゃん」



 そうして、満足そうな笑みをのまま、ツツミ兄様はパンパンと手を叩いた。

 すると、すぐさま采女の方々が部屋の扉を開けて礼をする。



「何か御用でしょうか」


「湖子という采女はいるかい?」


「はい、おりますが」


「ここまで呼んで来てくれ」


「かしこまりました」



 ツツミ兄様が、湖子に何の用なんだろう……。



 湖子と親しいのかもしれないけれど、湖子は一介の采女。

 主の息子と使用人。