「……女だったらダメなのですか?」


「それは父上次第だね」


「それは、どういうことですか?」


「いや、父上は相当過保護なタチだからってことだよ。お許しが出れば、いくらでも教えてあげよう」



 満足そうなツツミさんの笑顔は、邪気がない。

 そのせいか、毒毛が抜かれてしまったように感じてしまう。



 ……なーんか、裏表激しいっぽい。

 うわー、絶対この人腹グロだよ……。



 穏やかそうな顔立ちの奥に潜む鋭い観察眼。

 それに見据えられただけで、なぜか冷や汗が背筋を伝った。



「お願いすれば、お父様は聞き入れてくださると思いますけれど……」


「ま、それは相手が君だからね。お気に入りなんだろう? 実際、俺も気に入ったしね、君のコト」



 ああ、面倒なことになりそう……と納得しかけ、ふいに頭にナニかがひっかかった。



 あれ……?



「あの……いま、俺っておっしゃいました?」


「ああ、そうだよ。悪いかい? 妹を前に、堅苦しい言葉を使う必要もないさ。だろう?」


「はい……」