今の脳内状態を何と言えばいいんだろう。
カオス?
富士山のふもとに広がっているという樹海?
もうむしろ、魑魅魍魎の跋扈する黄泉の世界?
クエスチョンマークだらけの頭の中が、私をクラクラさせた。
けれど、そんな私にはお構いなしで、真人さんはにこにこと笑いながら、采女の一人に話しかけていた。
「呼んできてくれたかの?」
「はい、もうすぐいらせられるとのことでございます」
「そうかそうか。ふぉっふぉ。楽しみじゃのぅ~」
そしてまた、いつものごとくヒゲを撫でる真人お父様。
好々爺然とした笑顔に、苦笑を誘われる。
「……どなたなのですか?」
気にならずにはいられない!
この真人お父様が紹介したがるほどの人物。
私の兄になるということは、真人お父様の息子であるはず。
その方は、どのような人物なのか……。
「そうじゃのぅ。有能じゃがちょこっとばかり性格に難あり、じゃ」
「難あり……っ!?」
自分の息子に対して、その表現を使うのはいかがなものだろう。