そうだった。

 私、迷っていたんだった……。



 チラリと、馬上の彼を見る。

 心底わからない、といったような表情をしていた。



「ええと……その、迷ったんです」



 ここで意地を張っても仕方がない。

 渋々、私は正直に答えた。



「迷った? こんな所でか?」


「……そうです。何分、田舎者ですから」


「ほぉ……」



 上からの、値踏みされるような視線が痛い!



 おそらくは真偽のほどをはかっているんだろうけれど、そこまで疑われると、やはりちょっぴり傷つく。

 少しは信用してほしい。

 会ったばかりの不審人物に対して、無理な相談だということは分かっているけれど。



「そうか、わかった」



 しばらくして、馬上の彼はアッサリとそう言い、クルリと馬首を翻した。



「ついて来い」


「へ?」