まさか、だった。
右を見れば、見知らぬ屋敷の壁。
左を見れば、土の道が田んぼの間をずっと遠くまで続いている。
ああ、のどかだなぁ……じゃ、なくてっ!
ただでさえ、見知らぬ事ばかりなのに……。
ましてや、ここがどこなのかも、どこをどう行けば小野真人邸まで帰れるのかもわからないのに……。
どうやら、私は迷子になってしまったらしい。
「これってピンチ……?」
運の悪いことに、湖子とははぐれてしまった。
今思えば、その時点で適当に歩き回ったりなどせず、その場にいればよかったのかもしれない。
けれど、今となってはそれはもう後の祭り。
後悔先にたたず、だ。
「ど……どうしよぉおお!」
何やら、泣きたくなってきた。
ううう、本当にどうすればいいんだろう。
このままここで迷って遭難して、発見された時には白骨になってました、なんて……。
「わ、笑うに笑えない……」