さらに言えば、この服は色気のカケラもない。

 現代のキャミソールやタンクトップが、何やらとてつもなくエロい服に思えてくるから不思議だ。

 唯一の可愛いところといいたら、胸元のリボンと勾玉の付いた首飾りくらい。

 リボンも少し薄めの藍色で、勾玉は薄桃色だけど。






「ええと、真人さん?」


「何じゃ?」


「こんなに良い服を頂いてしまって、本当にいいんですか?」



 そう。

 真人さんはなんと、この服一式をくれると言うのだ。

 太っ腹なのにもほどがある。

 これらの服は本当に肌触りが良いから、おそらくは絹なんだろうけれど……。

 この時代、絹は高級品であったはず。

 だから、『いただけません』と何度も何度も何度も何度も進言した。

 けれど、いくら遠慮しても、真人さんは半ば強引にくれると言ってくる。



「こんな良い服、やっぱりもらえませんよ……」


「ううっ、蘭花殿はわしの見立てが気に食わないのかのぅ。寂しいことじゃ、悲しいことじゃ」


「い、いえ、そういうわけではなくて……」


「ああ、悲しいのぅ。わしのささやかな望みさえもきいてはもらえぬのかのぉ……」


「うっ、あ、えっとー……」