声を、聞いた気がした。
いくつもの、幾人もの声を。
男の声もあれば、女の声もある。
老人のしわがれたような声もあれば、まだ年端もいかないであろう幼い子どもの声もあった。
「なに……?」
声がするのは、わかる。
けれど、何を言っているのかはわからない。
――キイテ。
――キイテ。
「何を聞くの?」
――届イタ!
――届イタ!
一体、何?!
要領を得ない声に、だんだん焦れてきた。
「一体、何なの?!」
「何なの、と言われても困るな」
「誰っ!?」
ボウッと一瞬で、光の中から人影が現れた。
背は高い。
ぼんやりとしていた輪郭が徐々にハッキリしてきた。
「……誰?」