本当に、私らしくない。
現代での、クールな私はどこへ行ったんだろう。
これじゃ、どこぞの悪友やらと一緒だ。
アイツは変なところでよく緊張していたから。
怒りまくる学校の教師やら親の前では飄々としているのに、恋人の前だと人が変わったように緊張していた。
もっとも、それを見て、私たちは笑い転げていたのだけれど。
今、それを懐かしく思ってしまうのは――、私がこちらの時代に馴染んできてしまっているから、だろうか。
私はもう、飛鳥時代の人間としての認識を持ってしまっているんだろうか。
正直なところ、自分ではそんなことはわからないのだけれど……それもまた悪くはない、と思う。
「……こちらこそ。蘭花殿」
すごく、変な感じ。
あれだけギャーギャーと口喧嘩をしてしまった相手から、丁寧に頭を下げられるなんて。
挨拶によって、あの時には知らなかった名前を知った。
真人お父様が彼らを私に紹介したのは、『言い回ったら見たいと言われた』からだと言っていた。
けれど、……多分、それだけじゃないと思う。