中臣鎌足。
まずは一人。
彼が出て来たってことは、そのうち蘇我入鹿やら中大兄皇子やら大海人皇子やらとも出会うことがあるかもしれない。
なんて言ったって、彼は朝廷での重要人物だから。
「最後のこの方が……」
「葛城だ」
かつらぎ……?
真人お父様の紹介の声を遮って、そう教えられた。
聞いたことのない名前。
中臣鎌足と一緒に居るということは、朝廷でもそれなりに有名人物なんだろう。
この前見た、彼の来ている服は――濃い、紫色だった。
「ヨロシクオネガイシマス」
片言のようになってしまったのは、ご勘弁願いたい。
だって、柄にもなく緊張してしまっているんだから。