「ほぅ……」


「なんと……」


「……」



 感嘆のような溜め息に、心中でグッと手を握った。



「蘭花、こちらの方は、蘇我倉山田石川麻呂殿じゃ」



 そがのくらのやまだのいしかわのまろ。



 真人お父様みたいに、穏やかに笑った人。



 なんだか癒される、と思ってしまうのは気のせいかな?



 それにしても……、蘇我姓ということは、蘇我蝦夷や蘇我入鹿と親戚なんだろうか。

 けれど、もしそうだとしても……この人からは、穏やかな雰囲気しか纏っていないように感じてしまう。



 蘇我氏と言っても、色々あるのかな……。



「よろしくお願いしますね、蘭花殿」


「はい、こちらこそよろしくお願いします」



 あ、いい人っぽい。



 向けられた笑顔が、とても素敵。

 つられて、こちらもにこにこと笑ってしまう。