そうしてまた、ふぉっふぉっふぉ~と笑い、ヒゲを撫でながら真人お父様は部屋を出て行った。

 チラリと見えたその表情は、まさにご満悦、といったもの。



 ……真人お父様に逆らうなんてことを、この先できるようになるのかどうか、すっごく気になる。



 けれど、答えを得るのは何だか怖い気がして、それ以上考えることをやめた。









「誰なのでしょうね」


「さあ……わかりかねますわ」


「そう。……湖子、そろそろお腹が……」



 ぐぅぅぅ~と、まんともタイミング良く唸った腹の虫の音。

 それにここは思わず噴き出した。

 いつもの口元を覆って笑うクスクス笑いではなくて、耐えきれない! といったように肩を思い切り震わしている。

 せめて声を出さないようにしているのかもしれないけれど、それは逆効果以外のナニモノでもない。