翌日。
私は思い切り寝坊をしてしまい、出仕する真人お父様を見送ることが出来なかった。
「あああ、どうしよう……こんなんじゃ、養女失格……」
頭を抱えてずるずるとうずくまる。
朝寝坊をするなんて、あまりにも情けない。
けれど、それ以上に……このことが堤巳兄様に知られてしまったら、と考えるとゾッとする。
あのにこやかでありながら威圧感の在る笑顔で嫌味やら説教やらを受けるのは謹んでご遠慮願いたい。
というか想像さえもしたくない。
「まあ、否定はしなけれど、いつまでも悲観していないで、堤巳様から頂いた宿題をすればいいのではなくて?」
「うっ、湖子……。現実を突き付けないでよ」
「それならば、現実を突き付けられる前に自分でなんとかなさいよ」
「…………」
湖子の言うことは至極もっともだったため、私は反論しようとした口を閉じるほかなかった。
そうして、渋々、堤巳兄様からの宿題を引っ張り出した。