「 ・・・そういえば、メール・・! 」
すっかり忘れてた!
ぱっと携帯を手にとって
開きっぱなしだったメールを見る。
「 麗華 」
「 ・・・ 」
「 震えてる 」
─────────さっきも、同じこと・・・
「 麗華? 」
・・・・・『 あの男は誰だ? 』・・・・
あたしは、全然解放なんか
されてなかったんだ。
「 麗華・・・怖がるな 」
「 ・・・・ 」
「 アイツからか? 」
・・・・・・今度見つかったら・・・
殺されちゃう・・・
「 麗華? 」
あたしは・・・ここにいちゃだめだ。
「 麗華! 」
彼の大声に肩が上がって
震えた手から携帯が転がり落ちた。
携帯に手を伸ばした彼を横目に
「 ・・・・ごめんなさい 」
・・・・部屋を飛び出した。
「 麗華!!! 」
背中にぶつかる彼の声を
なるべく聞かないようにして
知らない道を走り回った。
横断歩道も駆け抜けて
止まらずに、一直線に。
「 はっ・・・・はぁ・・ 」
立ち止まってから恐る恐る
振り返ってみると、
追いかけていた彼はいなかった。
─────寂しいなんて、思っちゃだめ。
あたしは、頼っちゃいけない。
甘えちゃいけないんだ。
いつあの人に見つかるか、分からない。
「 ・・・・・~~ッッうぅ 」
泣いちゃ、だめ・・・
これから名前変えて
どこかで雇ってもらって・・・
とにかく、この町から出なきゃ・・・
ヨロヨロと立ち上がったあたしは
宛てもなく知らない道をゆっくりと
進んでいった。
俯いて歩いていたからか、
気付けばホテル街に入っていたけど
それでもゆっくり歩いていた。
「 お嬢さん 」
「 ・・・? 」
ポンッと肩を叩かれて
顔を上げると、
バーテンダーのような服を着た
金髪の男の人がにこりと笑って
「 どうしたの?1人で・・・危ないよ? 」
「 大丈夫です 」
「 暗いし、一晩だけウチで働かない? 」
・・・・1秒でも早く、この町から出たい。
一晩だけでも、働けるならいいと
その人についていった。
──────ガチャッ
「 じゃあ、そこのイスに座ってて 」
バーのような大人の雰囲気を
漂わせるお店には、不良みたいな
派手な人達ばかり居た。
イスに座っていると
不良の中にいた1人が隣に座って
「 麗華さん? 」
と 目を丸くしていた。
「 ・・・・誰ですか? 」
「 麗華さん!? 」
「 そう、ですけど・・・ 」
あまりにも過剰なリアクション。
上がりきったテンション。
不良って・・・みんな”こう”なの?
「 こらこら!店の子に手出しちゃ・・ 」
「 この子は特別!米原さんのっすよ? 」
「 えっ!!その子が!? 」
「 麗華さん、失礼します! 」
「 ・・・きゃぁっ!? 」
急に抱き上げられて
お店の外に連れ出されると
そのまま車に乗せられた。
「 あの・・・!? 」
「 すいません・・怖かった・・・ですよね?
えーっと、俺 瀬戸雅[セト ミヤビ]って言います 」
・・・・悪い人には見えない。
運転手を合わせて6人。
6人の男に囲まれて怖くないって
思うほうがどうかしてるんだろうけど
みんな頭を下げて謝りながら
淡々と自己紹介をしていく。
・・・いろんな意味で怖いよ・・。
「 田中弘樹[タナカ ヒロキ] 」
「 宮口楓です[ミヤグチ カエデ] 」
全員が何故か敬語の中、
1人だけ不機嫌そうな人がいた。
「 弘樹!お前怒られんぞ! 」
「 別に。 」
助手席に座っていた”弘樹”は
少し癖のついた黒髪に
白い肌、長いまつげ・・・・
いわゆる、イケメン。
「 気にしないで下さいね! 」
落ち込んでると思ったのか
励まそうとニカッと笑った男の子。
・・・・・・・・・・!!!!!!!!!!