考えているに唇を割り込んで
ストローが入ってきて
彼が 箱を少し押した。
「 んっ・・・・!? 」
流れ込んできたココアを
受け止めきれずに
口から一筋、ココアが首筋へと
流れ出した。
「 ・・ちゃんと、飲めよな? 」
「 ・・・・・んんっ!!!! 」
口の中にはストロー。
彼は加減しつつも
ココアをあたしの口の中へ
流し込む。
その度に 口から零れるココア。
────────────そして彼は・・・
「 ・・・甘ぇ 」
あたしの零したココアを
器用に舐めとる。
首筋を伝う彼の舌。
しばらくして、”ズゴゴッ”と
嫌な空気だけの音がして
ココアがなくなった。
彼はあたしの口からストローを抜いて
ゴミ箱へ捨てると、飲みかけの
コーヒーを口に含んだ。
「 ココア、甘すぎ 」
彼もコーヒーを飲みきると
缶をゴミ箱へ投げ入れる。
「 甘いもん、すきなの? 」
甘党代表と言い張りたいあたしに
それを聞くなんて・・・・!
「 大好き! 」
「 じゃあ、嫌いなものは? 」
「 ピーマンとにんじん 」
苦いし。
にんじんは、何か嫌い。
好きになれない。
「 ・・・・・・ガキ 」
彼は小さく呟いてから
あたしを見る。
「 包帯、とれかけてる 」
あたしの左肩にそっと触れると
”ほら”と包帯の端を目の前に
もってきた。
「 ・・・・ちょっと、まっ・・ 」
「 俺がやってやるよ♪ 」
少し体を起こした状態だったあたしは
背中を支えられながらゆっくりと
押し倒されていく。
「 白衣・・しか、着てないし・・・
肩ぐらいなら・・大丈夫・・です 」
「 肩は大事だろ?包帯くらい
俺がやってやるって 」
・・・・何か違う!!!!!!!!!!!
「 ・・・・っや 」
”やめて”とも言えない。
行動が早すぎる彼は
白衣をお腹まで捲ると
首筋に舌を這わせる。
「 ・・・・っあ 」
口から自然に漏れる声に
自分でも驚いた。
「 ココアの飲み残し 」
・・・・・嘘だ!
噛んだ!!!!!!!!
「 感じちゃった? 」
ニヤリと笑う彼は
・・・・楽しそうだった。
「 新しい包帯・・・どこだっけ 」
”あのくそ女が置いてったやつ”
と 部屋をウロウロ歩き回ると
”ガコッ”と彼が何かを引き出して
包帯を持ってきた。
「 知らない間に、救急箱があるんだけど 」
「 ・・紫さん、忘れてったんじゃないですか? 」
「 ああ、そういえば・・・ 」
機材みたいなのを持ってきてたのに
持って帰らなかったんだ。
・・・・随分大きな忘れ物だな。
「 んじゃ、包帯巻き直すか! 」
とれかけた包帯をとると
慣れた手つきであたしの肩に
ぐるぐると包帯を巻きつけていく。
「 痛みは? 」
「 ないです 」
「 じゃ、これでいいな 」
あたしの体に白衣を被せると
後片付けを始める。
「 ・・・・ 」
手際、いいな・・・
包帯巻くのもうまいし。
後片付けもすぐ終わっちゃうし・・・
「 ・・・ん、なんだよ? 」
気付けば、あたしは彼を目で追っていたようで
不思議そうに首を傾げる彼が
ずいっとあたしの顔を覗き込んだ。
「 やっぱり紫さんと・・・ 」
「 変な想像してんなよ? 」
眉間にシワを寄せると
あたしの頭を小突く。
「 だって・・・・ 」
「 包帯はアイツが持ってくるし
仲間がよくやられるから
俺がやってるだけ 」
弁解するように説明するけど
あたしには分からないことだらけで
彼が一体何者なのかは分からないけど
・・・・仲間、いるんだ。
「 お前のハジメテ、俺がもらう 」