・・・
・・・・・・
「 龍弥・・・ 」
「 うん? 」
何で・・・・
「 何でお風呂? 」
手を引かれて入ったバスルーム。
目の前に映し出されるキスマークに
”おお・・!”と感動している間に
腹部に手を回されてお湯の中に
引き込まれた。
裸なのは、もう仕方ないよね。
「 このバラ、毎日変わるからな 」
「 え? 」
「 今日が赤なら、明日は白 」
・・・・・・誰が、・・変えてるの?
この部屋の掃除も、バラも
誰がするの?
言いたくて 聞いてみたくて
むずむずしたけど、なんとなく
聞けなかった。
「 お前さ 」
「 ん? 」
「 そうやって言いたいこと我慢すんなよ。
俺ん家の執事が勝手にやってんだよ 」
あたしの表情で 聞きたいことも
我慢したことも丸分かりで
「 ・・・ほんと・・敵わないや 」
「 俺には勝てねぇよ 」
「 そんなことないもん! 」
「 勝たせねぇよ 」
「 うっ・・・ 」
勝ち誇った表情の彼は
・・・正直に、かっこよかった。
「 お前は俺を愛してんだろ? 」
「 麗華ちゃん!!!! 」
清々しい日曜の朝。
龍弥がいない限り
外に出られないあたしは
することもなく、1人呆けていた。
「 ・・・開けてよ! 」
ドアの向こうで聞こえる海くんの声。
多分 一緒に楓くんもいて
音が響かないように控えめに
ドアをノックしながら、あたしに
ドアを開けるように託し続ける。
「 龍弥にだめって言われてるの 」
「 俺等ならいいでしょ?緊急なんだ! 」
「 ・・・ 」
「 もう、隠れてらんないんだよ 」
声のトーンが確実に下がって
海くんは話を切り替えた。
天井を眺めていた目線を
ドアへと向ける。
「 米原さんが部屋から出さないのは
麗華ちゃんのため 」
「 わかってるよ? 」
「 分かってないから来たんだよ! 」
驚いた・・・・
海くんがあたしを叱ってる。
「 麗華ちゃん、ここにいるだけじゃ
・・・もうだめなんだよ 」
「 ・・・・ 」
言ってる意味が、分からないよ。
「 龍弥に来ること言ったの? 」
「 言ったら殺される 」
「 どうして? 」
「 ・・・麗華ちゃんは、甘やかされてるから。
米原さんは強い。喧嘩じゃ負けない 」
・・・・・何の話、してるの?
「 けど、麗華ちゃんのためなら
何でもするよ、米原さんは 」
寝ていた体を起こしたら
自然と足がドアの方へと向って
ガチャリと鍵を開ける。
「 どういうこと? 」
チェーンをつけたまま
ドアの隙間から廊下を覗くと
焦りで表情を歪ませた海くんが
目に入った。
「 人に聞かれちゃまずい 」
「 ・・・ 」
「 米原さんには聞いてないんだろ? 」
───────龍弥?
あたしに何を隠してるの・・・?
あたしのために、何かをしようとしてるの?
「 とりあえず、開けて 」
楓くんにそう言われて
あたしはチェーンを外し
ドアを開けてしまった。
「「 ・・お邪魔します 」」
2人共 足早に入ってくると
ソファに腰を下ろした。
「 本題に入るけど・・ 」
腕を組んだ楓くんの隣で
少し急ぐように、早口で話し始めた。
「 最近、ココのポストに手紙が入ってるんだ。
米原さんや俺等の携帯にはメール。
相手は直接会いに来ないけど
俺らの居場所はもちろん、・・・・
麗華ちゃんのことも見てるんだよ 」
「 ・・・・携帯? 」
・・・でも、携帯は・・・・・