「 麗華・・ 」


「 なぁに? 」


「 ・・・携帯見せろ 」


「 どうして? 」






すごい形相であたしを睨むけど
彼の口元は笑っている。
それが怖い。







あたしの腕を掴んだものの
龍弥に奪われてたまるかと
全身で抵抗して 携帯を死守。








「 チッ・・消せよ! 」


「 やだ! 」


「 仕方ねーな・・ 」








龍弥は ポケットに手を突っ込んで
何やらゴソゴソとし始める。










「 おいで、麗華 」





あたしの大好きな笑顔で
両手を広げる。
彼の手の中には・・・飴。






「 うっ・・・! 」






甘いイチゴの匂いと
大好きな彼。
こんな笑顔、いつもは見せてくれないのに・・!





「 麗華 」


「 ズルイよっ! 」


「 おいで? 」


「 うぅぅ~~~っ! 」






・・・負けた。













甘い誘惑にあっさり負けて
携帯をベッドに投げ捨て
龍弥の腕の中に飛び込んだ。





「 ・・・ガキだな 」





耳元で囁かれた言葉も気にせずに
ギュウッと腕の力を強くすると
彼の右手が顎を掴んで強引にキスをされた。





「 んんっ・・・・んぅっ! 」





彼の舌に運ばれて甘いものが
お互いの口の中を行き来する。
漏れる吐息は イチゴの匂い。






「 もう、なくなったのか 」






”つまんねぇな”と
少し不機嫌そうな顔をするけど
あたしは満足。







「 幸せ♪ 」








龍弥の頬にキスをすると
つられたのか 龍弥も笑顔になっていた。










「 ええぇぇっ!? 」





急に決まった引越し。
部屋は何も無くなっていた。






「 セキュリティ悪ぃからな 」


「 何処にいくの? 」


「 俺の家 」







・・・・・家ってここでしょ?
え・・・家?







「 実家・・・? 」


「 誰があんなとこ帰るかよ 」


「 俺の家? 」


「 こっちは仲間とか飛び入り用 」






”自慢じゃねーけどまだ3つ・・・”
この先は聞きたくなくて
バイクに飛び乗った。













前々から(と言うか最初から)
すごい人だとは思ってたけど・・・





飛び入り用のお部屋と
プライベート用と・・・
って、数え始めた彼の指は3本。
ココを入れれば4つあって
1つ手放したから3つらしい。





「 ここから結構近ぇし、景色が・・・ 」





そこで、彼がバイクのエンジンをかけて
声がかき消されてしまった。









─────────景色が綺麗なお部屋・・









夢見る乙女にとって、最高の
シチュエーション・・・










─────────・・・で






「 綺麗! 」







・・・・な、お部屋。
締め切ったカーテンの隙間からは
まだ夕方でもないのに光がなかった。








「 ・・・・だから言ったろ? 」









咄嗟にカーテンを開けたあたしに
龍弥は”バカだな”と溜息交じりに言った。












”景色が最悪”。
つまり彼はこう言っていたらしく
期待しまくったあたしは肩を落とした。






目の前には、壁。






「 邪魔な奴が来ねぇんだよ、ここ 」






お部屋は白と黒でシンプルだけど
家具の1つ1つが綺麗で
計り知れない大きさのベッドは
最高にフワフワしていた。






「 隣、バスルーム 」






そういわれて 隣の部屋のドアを
勢いよく開けると・・・・








「 えぇええええぇえっ!? 」











真っ白なバスルーム。
大きなバスタブに浮かぶバラ。
必要最低限のものが
この部屋には完備されていて
小さな冷蔵庫にはワイン。






「 すごい・・・ 」


「 セキュリティも完備されてるし
  邪魔も入らない 」





グイッとあたしの腕を引っ張って
自分の元へ引き寄せる。






「 お前は俺の女だ 」










同時に首筋につけられたキスマークが
妙に現実味を帯びていて・・・・










「 ・・・はい 」







つい、返事をしてしまった。










・・・





・・・・・・







「 龍弥・・・ 」


「 うん? 」







何で・・・・






「 何でお風呂? 」







手を引かれて入ったバスルーム。
目の前に映し出されるキスマークに
”おお・・!”と感動している間に
腹部に手を回されてお湯の中に
引き込まれた。