・・・子猫?
「 うるせーよ 」
「 米原さん!ずるい! 」
「 ぁあ? 」
「 俺も麗華ちゃ・・・ 」
ドカッ
「 誰が名前呼んでいいっつった 」
怒られた海くんは、
これでもかと言うくらいに
息を切らしながら爆笑。
舌打ちをして 溜息をつく龍弥は
子供が苦手らしい。
「 ・・・で、どうしよっかなぁ?コイツ 」
恐怖で怯えていた三浦さんは
いつの間にか気を失っていて
グッタリしていた。
「 コレと一緒に送ってやれよ 」
「 家に? 」
「 ・・麗華の家に 」
そういった彼の表情は
・・・・・・・ホンモノの不良の顔だった。
あの後、バイクに跨った海くんと
楓くんは あたしが書いた地図を片手に
”あたしの家”へと向った。
後ろには・・まだ気を失ったままの
三浦さんを乗せて・・・
「 適当な荷物もってこいって言ったけど 」
「 うん? 」
「 部屋、入らせていいのか? 」
「 うん。大丈夫だよ? 」
手を繋いだあたし達は
他愛のない話をしながら
家に帰った。
「 ・・なぁ、麗華 」
「 ん~? 」
ソファに深く座りながら
大好きなテレビ番組を見ていると
真剣な顔をした龍弥が
あたしの手を握った。
「 ・・・え、どうしたの? 」
短い沈黙すら堪えられなくて
あたしから聞いてしまう。
「 あのさ・・・・ 」
目を合わせてコクコク頷いていると
”はぁ・・”とドでかい溜息が
部屋中に響いた。
「 ・・・龍弥? 」
「 俺じゃねぇ 」
真剣だった彼の表情は
ムスッと膨れっ面になっていて
溜息をついたと思われる人物を探す。
「 あ 」
・・・・あ。
「 あたしの・・・タンス? 」
「 そう 」
「 え、何で? 」
適当に・・・持ってくるんじゃ・・・
「 タンス開けるなって
米原さんが・・・ 」
・・・・な、なるほど。
でも タンス丸ごとって・・・
「 タンスはそっちの部屋 」
「 ほーい 」
「 麗華、着替えて来い 」
最近分かった 彼の本性。
会ったときからの優しさと
・・・少し、俺様。
「 どうして? 」
もう、7時だよ?
「 傷も、治ったし
外行こう 」
「 え? 」
「 着替え、手伝ってやろうか? 」
ニヤリと笑った彼を見て
顔が熱くなったのを感じる。
振り向き際に”ばか”って言うと
彼は珍しく 満面の笑みで手を振ってくれた。
「 ・・・・溜息って・・ 」
海くん・・・だよね?
楓くんは相変わらずクールだけど・・
「 終わったか? 」
「 えっ・・え!? 」
下着姿のままなあたしは
ガチャリと開けられたドアから離れて
布団にくるまった。
「 ・・・ 」
「 ・・・えへ? 」
顔だけ出してみると
龍弥はあたしの布団に手をかけた。
───────満面の笑みで。
「 ちょっと待って!! 」
負けじとあたしも布団と掴んで
体を隠す。
「 何だよ?見せろよ 」
「 まだなの! 」
「 は? 」
「 まだ着てないの! 」
少し緩まった力に気付いて
あたしも力を緩めると
バババッと 目の前に広がった白い布。
「 ・・・・? 」
・・・・・・・こ、これって・・・
「 いい眺め♪ 」
布団とられた!!!!!!!!!