「準嗣はな,バイトながらギターはなかなかなモンなんだよ。」
智浩さんがにやりとしながら森さんに言う。
「へえー」
森さんがさらににっこりしていたずらっぽく俺を見たので,俺は少し困ってとりあえず笑っておいた。
「今年の"愛を深めよう会"は楽しくなりそうだな…。トモ,さんきゅ」
森さんは智浩さんにそう言うと更ににっこりした。
―よく笑う人だな。
俺はそう思いながらも,すでに森さんが好きになっていた。―もちろん,怪しい意味ではないが。
この人となら,うまくやっていける。そういう確信めいたものを,俺は感じていた。