「お義母様……」
圭太は私の方を振り向いて、いった。
「扉はすぐそこだ、さぁ…帰るんだ。君が幸せになれる世界に」
そう言って、軽く押される。
たしかに、扉は目の前だった。
あとは、開けるだけ…
「早くっ!」
圭太に急かされる。
どうしよう…?
あんなに、帰りたかったはずなのに迷いばかりがうまれてくる。
開けたら、今までの生活に戻れる…
でも、圭太は?
圭太は、どうなるの?
「どきなさい」
そうかんがえているあいだにも、お母様からの圧力がかかる。
早く、決めなきゃ…!
その時、扉が開いた。
「舞華っ!」
「華雷っ」
何週間ぶりかにみた、華雷の顔は少し疲れているようだけど何も変わらない。
「舞華、君の大切な人が迎えにきてくれたよ。よかったね、これで君は家に帰れるよ」
前から言うことを決めていた、そう言ったセリフだった。
「連絡、ありがとうございました」
「舞華のこと、頼んだよ」
二人はそれだけ言葉を交わした。
私は華雷に腕を掴まれ、半強制的に連れて行かれる。