そして、その日彼が私の部屋から出ていく前にたずねた。
「どうして、そんなに寂しそうな顔をしてるの?」
そうきくと、素直にこういった。
「もうすぐ、華雷が君を迎えに着てくれるよ」
「えっ…………?」
圭太は扉に向かっていた、私の方を向こうとはしない。
「本当は…連絡するなって言われてたけど……君は、あの場所が好きみたいだから……華雷に、ここの事を連絡した。きっと、もうすぐ迎えにきてくれるよ。君の大切な実兄が…」
その言葉は嘘には聞こえなかった。
「今までありがとう。楽しかったよ、きっともう…会えない。そう思うと寂しくなってしまってね…心配かけてごめん」
そう言うと、部屋から出て行った。
きっと、前の私なら喜ぶしかできなかったと思う。
でも…今は、確かに喜びもあるんだけど、それより虚しさと…胸のざわつきが大きかった。