あの日から数日たった。
いまだに、帰りたいっていう気持ちが消えないものの、少しだけこの生活も悪くないかもと思い始めてしまっていた。
「舞華、みて」
そう言って、さっき何か小さい箱をもって部屋にやってきた圭太がその小さな箱の中を見せてきた。
「わぁ……!」
綺麗な、飴細工だった。
すごく、すごく細かくて…
私には絶対にできないと思った。
「これね、僕が作ったんだ。君にあげる」
「すごい! すごいね!! くれるの? 勿体無くて、食べれないなぁ」
圭太はこうやって、いつも私を楽しませるために毎日毎日何か持ってきたり、おもしろい話を探してきてくれていた。
「食べないと腐っちゃうよ」
「そうかもしれないけど…でも、本当にすごいね」
私はにっこりと笑った。
「ありがとう」
そう言って彼も笑った。
でも、少し寂しそうだった。
というか、毎日だ。
最近、どんどん寂しそうな顔をする回数が増えている気がする。
そろそろ、聞かないと…
そう思った。