「はや、く…どいて?」


圭太は少し鋭い口調でそう言った。


「でも、そうしないと…また、逃げようとするんでしょ?」
「にげ、ようとなんて…して、ないよ? ただ、自分の、部屋に……もど、ろうと、した、だけで……」
「でも、もう少し休んでからでもいいじゃない?」


彼は首を横にふる。


「今、きみの、ちかくにいる、と…逆に、体調がわ、るく、なってしまう」
「えっ…………」


なんで……?
どうして…………?


そして、ふと思い出す。


私、蜜華なんだ……
自分がヴァンパイアと意識し始めて、そんなことすっかり忘れてたけど……。


私の血の匂いで…圭太が苦しんでる?
ということは……


「圭太は、血が欲しいの……?」


そうきくと、悔しそうに圭太は唇を噛んだ。


そうなんだ…
なら、私の血をあげれば元気になる?


「私の血を上げる…だから、元気になって?」


「ダメだっ!!!!」


彼は声をあげて叫んだ。


「どうして……」
「ダメだ、また君が…嫌われて、しまう……」


目に涙を浮かべてそう訴えかけてくる。


きっと、お母様達のことをいってるんだ……
でも…


「そんなの、関係ないよ」


彼は驚いているようだった。